活動・調査報告
サステイナビリティ推進機構は、札幌市との連携のもと、大学院共通授業科目「さっぽろゼロカーボン特論」を8月26日(火)、28日(木)及び29日(金)の3日間にわたり開講しました。本科目は、教養深化プログラムの一環として実施され、脱炭素社会の実現に向けた理論と実践を融合した学びの場として、大学院生に新たな視点と挑戦の機会を提供しました。
札幌市は現在、脱炭素先行地域、SDGs未来都市、GX金融・資産運用特区に選定されており、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」の実現を目指しています。こうした背景のもと、都市の持続可能性を高めるためには、市民や事業者の行動変容を促す具体的な戦略や提案が不可欠です。
本科目には専門分野の異なる大学院生13名が参加し、札幌市の脱炭素戦略について学びながら、脱炭素社会の実現に向けた新たなアイディアの創出に取り組みました。
初日の8月26日(火)には、総合博物館にてキックオフオリエンテーションを開催し、参加学生に対して話題提供を行いました。札幌市からは、市内3か所の清掃工場で発電された余剰電力を地下鉄に供給し、地下鉄3路線の年間消費電力量約1億2,000万kWhを全量ゼロカーボン化した事例について説明がありました。また、協力機関である北海道ガス株式会社からは、地産エネルギーによる分散型エネルギー社会の構築に向けた取り組みについて説明がありました。サステイナビリティ推進機構からは、本学でのエネルギー消費量や温室効果ガス排出量について説明しました。学生たちは、株式会社Tsumutoのファシリテーター中村幸太郎氏の進行のもと、3つのグループワークに分かれて課題に取り組み始めました。
続く8月28日(木)には、札幌市南区の札幌市駒岡清掃工場及び石狩市の北海道ガス株式会社石狩LNG基地・石狩湾新港発電所を訪問・見学しました。現地職員から直接説明を受けながら、施設の仕組みや運用状況、脱炭素に向けた技術的・制度的工夫について学び、理論だけでなく実践的な知見を深める貴重な機会となりました。
最終日の8月29日(金)には、北海道ガス株式会社本社にてグループワーク及び成果発表が行われました。学生たちは、札幌市のテーマ「ごみで走る地下鉄の広報戦略や市民インセンティブの提案」、北海道ガス株式会社のテーマ「コジェネレーションを中心とした地域エネルギー活用に関する共同研究テーマの立案」、そしてサステイナビリティ推進機構のテーマ「カーボンニュートラルキャンパスの構想立案」に取り組み、それぞれの課題に対して活発な議論を重ねました。
各グループには、札幌市職員、北海道ガス株式会社職員、そしてサステイナビリティ推進機構の教職員が加わり、専門的な情報提供や助言を通じて学生の検討を支援しました。グループ討論の成果は、最終セッションにて発表され、参加者間で活発な意見交換が行われました。
最後に、出村 誠総長特命参与による講評が行われ、3日間にわたる本プログラムは盛況のうちに終了しました。本プログラムを通じて、学生たちは地域社会との連携の中で、持続可能な未来に向けた課題解決に主体的に取り組む姿勢を育みました。



