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山口総長からごあいさつをいただきました 国際シンポジウム2016

2016年11月1日・2日に開催した国際シンポジウムより

山口 佳三 北海道大学総長

皆様、本日はご参加いただきまして、ありがとうございます。

北海道大学 総長、山口佳三です。

この「サステイナブルキャンパス国際シンポジウム」では、毎年、興味深い講演やディスカッションをしていただいていますが、今年は特に本学にとって有意義なものになるであろうと期待しております。と言いますのも、今回のテーマには「サステイナビリティの概念を取り込んだキャンパスマスタープランとは」とあり、大学の将来像を描く上で、いくつものヒントが見つかると思われるからです。

本日ここにお集まりいただいた方々、そして北大の教職員および学生のみなさんにお願いしたいのは、法人化された大学にふさわしいキャンパスマスタープランとは何か、徹底的に議論してほしいということです。

ここで少し、北海道大学のキャンパスマスタープランについて私の考えを述べたいと思います。北大は、国内の他大学に先駆けて、キャンパスマスタープランを、1996年に策定し、2006年度に改訂いたしました。この改訂版についても、現時点で多くの反省点が残されており、そしてまさに北海道大学は、新しいキャンパスマスタープランをつくる時期にあります。

時代に合ったキャンパスマスタープランを策定するには、少なくとも3つのアクションが必要だろうと私は考えています。

第一に、北大の身勝手な論理から卒業すること。本学の札幌キャンパスがJR札幌駅のすぐそばにある環境を考慮すれば、北大内だけで満足して作った計画では意味がない。将来像は、札幌市などの地域社会と話し合いをしながら描く時代だと認識すべきでしょう。

第二には、資金に着目すること。過去の国立大学と違い、もう待っていても国から予算は下りてきません。各部局では「わたしたちのいる所は自分たちのもの」という意識があるかもしれませんが、それは昔の考え方です。1部局単位での概算要求が否定され、大学の全体像をもって文部科学省と交渉しなければなりません。この緑豊かなキャンパスを大学全体として維持・管理していく意識を、それぞれの部局でも持つことが重要です。

第三のアクションは、過去から学ぶこと。これはプランを策定する委員の方々に求めるものです。北大では「キャンパスマスタープラン96」および「2006」が策定されましたが、計画倒れになってしまった部分が多々あります。その原因をしっかり点検し、確実に次のプランに生かしてください。

みんなで知恵を出し合ってこそ、本当のキャンパスマスタープランができあがります。直接プラン策定にかかわらない方々も、ワークショップなどの機会には、ぜひ参加して意見を発していただきたいと思います。

最後にもうひとつ。本学では2014年に『北海道大学近未来戦略150』を策定し、世界の課題解決に貢献する北海道大学となることを宣言しました。世界の課題とキャンパスの課題とは、多くの場面でつながっています。地球の未来と北海道大学の未来とを同時に考えながら、自分ができることに力を注いでいただきたいと思います。