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研究者をサポートし、北大をおもしろくするURA

環境報告書2015より

URA  (University Research Administrator)ステーション

 川端 和重 Kazushige Kawabata

北海道大学理事・副学長、大学院先端生命科学研究院、教授。北海道大学理学部卒業、同大学院理学研究科物理学専攻 修士課程・博士後期課程修了。出光興産 中央研究所退職後、1994年 北海道大学着任。大学院理学研究科 助教授、同教授、大学院理学研究院 教授を経て、2013年4月より現職。研究分野は生物物理学、生命体の物理学。現在、夢中になっている研究分野は大学経営。

URA (University Research Administrator)

文部科学省では、URAは「大学等において、研究者とともに研究活動の企画・マネージメント、 研究成果活用促進を行う。単に研究に係る行政手続きを行うものではない。 大学の研究活動の活性化や研究開発マネージメントの強化等を支える」としています。北海道大学ではURAを「研究支援職ではなく研究推進職」と位置づけており、「コーディネーターではなくプロデューサーであれ」と語る理事もいます。

2015年4月1日、北海道大学に「URA職」が新設され、新生「URAステーション」がスタートしました。URAとはどんな存在で、北大にどんな効果をもたらすのか。統轄する川端和重理事・副学長にいくつか質問をしてみました。

Q.1 URA職を新設したのはなぜ?

国立大学が国立大学法人化して、自分で経営をすることになったものの、大学にいるのは研究・教育をする教員と運営をする事務職員。経営をする人がいない。今までいろいろな事業化や連携は運営組織の形で取り組んで、ミッションごとにマネージメントする人を採用していたんです。そこで「大学の経営をやれる人間をつくりましょう」となりました。

Q.2 “北大は独自路線”だそうですね。

全国的にURAは、研究者の時間を確保するために、研究がわかり研究支援できる人をつくるべきという話から誕生したんです。業務はプロジェクト獲得や研究申請書記載のお手伝い。でも北大の場合は、研究者と同じ目線で研究や活動をプロデュースするプロデューサーをつくろうと考えました。それで本学のURAは任期を設けない常勤職員で、給与体系は業績給。成果を出せば上のクラスに上がっていくシステムになっています。

Q.3「大学の経営」の説明を少し。

大学として「北海道大学近未来戦略150」を掲げていますが、研究について言うと、基礎研究は徹底的に多様であるべきだと思っています。続く展開研究に関しては大学のランドマークをつくりたい。北大の中で強い領域は、①医療創薬、②食と健康、③物質材料、④フィールド科学。これら4つの重点領域を定めて、ランドマークをどんどん立てていこうとしています。

Q.4 ランドマークの具体例を。

医療創薬だと「人獣共通感染症リサーチセンター」と北海道大学病院の「陽子線治療センター」が今まであったランドマーク的なもの。新たに2014年からスタートしたのが、食と医療を連動させて健康社会を築こうという「フード&メディカルイノベーション拠点」の建物であり、ホームシステムであり、関連するセンター・オブ・イノベーションの事業。これらにはURAがからんでいて、医学系と農学系とのコーディネートをしています。

Q.5 他領域のランドマークは?

フィールド科学で展開しようとしているのが北極域研究。これまで日本では南極ばかりを研究して、北極域を研究する拠点はなかったのですが、北大には低温科学研究所があり、ロシアに行っている研究者もいるので、人や組織をつないで2015年4月に「北極域研究センター」を設立しました。国立極地研究所や海洋研究開発機構と連携して温暖化、雪氷、北極海航路、鉱物資源、漁業資源、さらには北極政策の研究を進めていきます。

Q.6 北大らしい今後の展開は?

日本の農業にサイエンスをつなげて新しいランドマークを創るのが次の目標。農業は種を作ったり、稲を育てたり、牛乳を生産したりだけではなく、冷凍、物流、消費があり、最近では6次産業、7次産業というバリューチェーンがある。さらには、北海道の中で町がどんどん消えている過疎化の問題を解決する産業になるかもしれない。それを地域との連動で実証していけば、全国に広げられるし、世界のモデルケースにもなると考えられます。

Q.7 URAはどんな人たち?

研究活動が基本的にわかっている方々です。それから事業展開に興味があり、それなりにビジョンをもつことができて、フットワークがすごくいい。URAステーションに地味な人、暗い人、遅い人はいないですね。体力面、精神面ともタフで、修羅場さえ楽しめる人が多い。URAは新陳代謝もしていきます。新しい人を採用するときは公募ですから、誰でも手をあげられますよ。

Q.8 URAのアピールを。

北大ではURAステーションに経営的な人材をしっかり整えて、大学の独自性を発揮させるような活動に向かっています。URAはほとんど私と同じ情報をもっていて、各部局担当のURAも設定しているので、研究者のみなさんにはもっと活用していただきたい。こちらでは、誰かがおもしろい活動をし始めたら、それを応援したいと思っています。

約1時間のインタビューの間に、川端理事は「こんな話じゃおもしろくないよね?」「農業だけじゃおもしろくない」など、「おもしろく」という言葉を8回口にしました。「自分の研究や構想はけっこうおもしろいのではないか?」とお考えの研究者の方は、ぜひURAにコンタクトをとってみてください。

URAステーションができること

  • 北海道大学の未来のために、全学的な研究戦略立案のための情報を収集・分析します。
  • 北大の「知」を地域の人々に繋ぎ、研究の社会実装を支援します。
  • 学内の研究者の声を聞き、新しい研究を興すための情報を収集・分析します。
  • 分野を超えて新しい研究に取り組みたい学内外の研究者を繋ぎます。
  • 研究資金を獲得するための情報を収集し、発信します。
  • 学内外の分析機器についての情報を収集し、共有化を支援します。
  • 北海道で働くリサーチ・アドミニストレータを育成・確保するために、情報交換の場とスキルアップのためのトレーニングプログラムを提供します。

北海道大学URAステーションの活動。

2015年7月現在、北海道大学URAステーションには、大山卓也URAステーション長・研究推進部長の下、10名のURAが所属しています。その中から2名に、実際の仕事について聞かせていただきました。

北極域研究などを担当しています。

田中 晋吾 Shingo Tanaka

京都大学農学研究科応用生物科学専攻博士課程修了。博士(農学)。

昆虫を材料として、侵入種と在来種の進化生態学的相互作用を解明してきた。北海道大学サステイナビリティ学教育研究センター在籍中は、多国間連携サステイナビリティ学教育プログラムのコーディネーターを務めた。

Q.1 URAになった経緯は?

2008年に全学の「サステイナビリティ・ガバナンス・プロジェクト」で雇用され、研究と教育を始めました。途中で「持続社会構築環境リーダー・マイスター育成」という国際教育プログラムに異動になって国際関係の活動が多くなっていき、2012年に現在のURAステーションに国際担当URAという形で加わることに。最初の半年間は、学内の国際関係の部署との連携を強化していく仕事。翌年からURA全員で研究大学強化促進事業の獲得に取り組みました。

Q.2 北極域のご担当だそうですね。

日本で北大は北極と周辺域の研究では中核的な位置をしめていますが、これまでは研究者が個々に研究していて比較的小規模なプロジェクトが目立っていました。そこで北極と周辺域を研究している先生方を集めて「北極域研究センター」が創られ、2015年度から始まる大型のプロジェクトの中核を担うことになりました。プロジェクトは北大、国立極地研究所、海洋研究開発機構が連携して進められるため、この3機関の調整役も私が担当します。

Q.3 北極域以外の実績は?

文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援」事業。これは大学の国際化を支援するための事業で、年間4億円の支援金が10年間交付されます。前評判では「10大学ぐらいで私大も含める」という話で、北大では理事2人を含むプロジェクトチームを組んで、企画を練り、申請書を提出しました。じつはみんな「落ちたら取り返しがつかない」と、けっこうプレッシャーがかかっていたので、無事採択されたときにはホッとしました。

Q.4 URAがいる意義とは?

大学は教員が中心になってディスカッションをして合意をとって物事を進めていくのがベースですが、それだとスピード感に欠けるしドラスティックな改革は起こしにくい。世界のスピードに対応するには、トップのほうで方向性を見定めて、少人数のチームを動かしていく体制も必要です。ただ「URAは研究者のほうを向いていない」という声も耳にするので、各部局内にもURAを配置して、先生方がURAをより活用しやすい形にできればと思っています。

元研究者なので研究者を応援できます。

天野 麻穂 Maho Amano

東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻博士課程修了。博士(農学)。UCLA博士研究員、昭和女子大学生活科学部専任講師、北海道大学大学院先端生命科学研究院特任助教を経て現職。北大発ベンチャー企業の技術開発職を兼務した経験も。生化学をベースに、昆虫や鳥類の分子進化の解明から、血液true滴でがんを見つける診断装置の開発まで様々な研究をしてきた。

Q.1 URAになった経緯は?

研究者をしていて、そろそろ人生の折り返し地点かなと思ったときに、URAのことを知り、おもしろそうだったので応募しました。2014年2月にURAステーションに異動して、2015年4月からURA職。元研究者なので、研究者の気持ちはわかるはずです。先生方から「どうしたい」とか「今こんな技術がある」とか、いろいろ話をお聞かせいただいて、こちらからは情報を提供したり、連携するお相手をご紹介したりしていきたいです。

Q.2 今やりたいことは?

ロボット関連のプロジェクトをやろうとURAで企画しています。ロボットに強い大学は他にもありますので、北大ならではの技術を活かして、異分野の先生を結びつけ、社会のニーズを満たす方向に進むのが正解かなと個人的には思っています。1+1=2だけじゃなく、赤い1と青の1をたして紫の2をつくるみたいなことがしたい。それで2015年7月には「先端科学と医療安全のクロスオーバー」という出会いの場も設ける予定です。

Q.3 何か研究者にうれしい話を。

北大では総長室経費の一部が研究を育てるためのお金として位置づけられています。昨年までは広く薄く配分されていましたが、新しい北大の柱になるチーム型の研究をする研究者1人に集中投下されることになりました。通称名「HokREST」。部局長の推薦と研究戦略室幹事会の推薦で20人ぐらいが候補になり、最終的に選ばれるのは1人です。事業立案から、どうやって選ぶか、公平感を出すかと、URAでは綿密な調査をして、指標も作りました。

Q.4 1人しか支援しないのですか?!

「Fusion-H」という事業があります。40歳未満の研究者、異分野の先生方に集まってもらい、将来、北大の旗となるような新しい研究を始めていただく施策。あまりに斬新すぎて誰も相手にしてくれないものに対して150万円の支援をします。予定では7件くらい。期待しているのは文理融合です。URAになって、経営層が研究者に期待することと個別の研究者が願っていることの違いがわかってきたので、うまくすり合わせる役目も果たしたいと感じています。

北海道大学URAステーション2014年度開催イベント

【セミナー】

  • 2014/04/02 URAアドバンストセミナー「対話で未来を創るオランダフューチャーセンターLEF」
  • 2014/08/06  URAアドバンストセミナー「HORIZON2020勉強会」
  • 2014/10/14 ファシリテーション講習会
  • 2014/11/27  URAアドバンストセミナー「米国IRの実際と日本の大学への示唆」

【URA関連イベント】

  • 2015/01/22 第2回北海道大学 オープンファシリティシンポジウム 第true回北海道大学 設備サポートセンター整備事業シンポジウム
  • 2015/03/23 北海道大学FDワークショップ「世界を変えるイノベーターを生み出す教育とは?」「米国流工学教育の最先端に学ぶ」
  • 2015/03/24 北大イノベーション人材シンポジウム「シリアル・イノベーター〜成熟企業でイノベーションを起こす人材を育てる」

【主催イベント】

  • 2015/03/17 〜北大クロスロード交流会〜「ロボット研究の未来を語ろう」
  • 2015/03/19 国際本部・URAステーション主催「教職員のための国際化研修セミナー」