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水蒸気と水だけによる洗浄方法の開発 大学院工学院 渡部 正夫先生 

環境報告書2014より

渡部 正夫

大学院工学院 機械宇宙工学部門流体力学研究室 教授

研究分野:流体力学。研究テーマ:液滴衝突のダイナミクス。「わからないからおもしろい」と液体と気体が織りなす不思議を追いかける。

洗浄は産業に欠かせない工程で、半導体やLEDの製造では不良品の発生率にも影響します。大きく分けると洗浄は「化学的作用」と「物理的作用」によって行われます。食器洗浄で言えば、化学的作用は洗剤で、対象物を溶かしたり、酸化させたり、結合力を落としたりと複雑。物理的作用はスポンジで、結合力よりも大きな力を加えて汚れを取り除くというシンプルなものです。物理的作用のみできれいにできるなら、薬液は必要ありません。

渡部教授らは「純水と水蒸気を混合しノズルから高速噴射する新しい洗浄法」が非常に優れた洗浄効果をもつことを発見。さらに「水蒸気・水混相噴流を用いた革新的洗浄法」を開発しました。この洗浄法なら薬品を使用しないため、環境への負荷を抑えられます。じつは、なぜこの洗浄法が優れた性能を発揮するかは不明な部分が多いそうですが、廃棄物を出さない洗浄技術の実現をめざし、メカニズム解明とさらなる効率化の研究が続けられています。

ガラス(光学レンズ)の洗浄例)