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地域の方々や学生との意見交換の場 第1回 北海道大学ステークホルダーミーティング
環境報告書2005より
開催日:2006年3月20日 開催地:北海道大学遠友学舎
1時間ほど北海道大学構内を見学していただいた後、「2005年度環境報告書」草案に基づき、北海道大学の禦境への取り組みについて概要を説明し、皆さまからのご意見、ご要望を伺いました。
本学では、「2005年度 環境報告書」作成にあたり、ステークホルダー(北大と関わりのある方)からのさまざまな意見を取り入れることを目的に、地域の方々や学生との意見交換の場を設けました。この中でいただく多くのご意見、ご要望は今後の大学の活動にも反映していきます。
遠友学舎でのステークホルダーミーティング
北大の影響力の大きさについて
[ご意見]北大は非常に質の高い研究をしており、組織としても大きいので、地域社会をはじめ周囲に及ぼす影響力は大きい。北大が環境報告書の作成を通じて、研究、学生への教育、地域との連携などの中からどのような取り組みに力を入れていくのかという姿勢もまた周囲に対し、大きな影習力を持っていくだろう。
ポプラ並木への憧れ
[ご意見]ポプラ並木に憧れて道外から来る学生が多い。2年前の台風による倒木直後の見学ツアーでは、学生以上に衝撃を受ける市民が多く、愛着の深さを実感した。ポプラ並木や都心の豊かな自然をさらに広く知ってもらうことで、環境保護の意識を高めてもらえるのではないかと思う。
[北大からのコメント]私たちは、貴重な都市緑地である北大キャンパスの環境をより良いものとするため、ポプラ並木やサクシュコトニ川の再生に取り組みんでいます。
学生への教育について
[ご意見]環境に関心のある人が増えているが、学校や職場において、環境問題を意識した行動をとっている人は、それほど多くはないだろう。環境問顆に関する知識や意識を実際の行動につなげていく仕掛けづくりが必要である。大学組織では、正規のカリキュラムにインプットすることが可能なのではないか。有効な方法であろう。
[ご意見]大学組織の年輩者が不文律のように環境問題に対し、具体的な取り組みをしていれば、学生も自然に影響を受け、真似をするだろう。そこに教育がプラスされれば、しっかりした環境のセンスを持った人間が育成できる。学生と職員、全員の意識を統一することが最も重要だろう。北大が周囲に及ぼす影響力は大きい。北大が実践すれば、その影響力ははかり知れないだろう。
[北大からのコメント]環境問題に関する現在のカリキュラムや取り組みは、個々の部門単位のものがほとんどです。ご指摘の点を踏まえ、大学としての方針を考えていきたいと思います。
北海道の特性を生かした取り組み
[ご要望]北大の特徴は北に存在すること。快適な北の暮らしの実現に向けた、世界トップレベルの寒冷地技術は環境の分野でも最大限に生かしてもらいたい。特に雪や氷をうまく活用する研究で、さらなる効果を期待したい。
[ご要望]北大の、環境に関する研究は評価が高く、実際に企業と提携し、事業化したものもある。今後ももっと積極的に地域の企業と提携し、地域性を生かし、地域に根づいた事業を起こしてほしい。その際企業から相談を受ける側として、今後は企業からの相談のしやすさにも配慮してほしい。
[北大からのコメント]私たちはこれまでも、公的研究機関や企業と連携しながら、寒冷地の暮らしに関わる様々な研究に取り組みんできました。しかし、まだ敷居が高いとお考えの企業も多いようです。皆様とともにより良い方向を模索したいと思います。
ポプラ並木に前に設置されたバイオトイレ
環境教育のメッカに
[ご意見]北大は自然農かな教育機関であり、環境科学院などに研究者も大勢いる。さらに自然ガイド養成講座などユニークな取り組みも行っている。今後も活動の幅を広げて環境科学、環境教育のメッカになってほしい。例えば、キャンパス全体を「エコミュージアム」と考え、あわせて研究成果なども「生きた教材」として公開するといった方法もあるのではないか。
総合博物館セミナー(野外観察会)
[北大からのコメント]私たちは、総合博物館を中心として、北大のキャンバス・施設全体をエコミュージアムと位置づけ自然的・歴史的資産の保全と大学の効率的管理運営や安全対策との調和を図っていこうと考えています。
冬の植物園ウォッチングツアー
社会への情報発信について
[ご意見] 環境面で地域社会から何を期待されているのかを、北大は理解していくことが大事。そのために学生や職員はもとより、市の行政や市民などと常に対話し、北大の考えや活動を積極的に発信し、世の中に問いかけていくことが必要である。
[ご意見]キャンパスや演習林、実験施設をはじめとする保有資源や資産を活用した実験モデルを進めてほしい。その中で小、中、高校生に対してPRもできる。さらに、市民に対して行っている北大の取り組みやその必要性について、しっかりPRすべき。例えば、市民講座についてもっと広く情報発信し、参加しやすいものにすれば、北大での環境の取り組みは評価され、地域で活用されるだろう。地域の意識を高めることに役立つと思う。
苫小牧研究林の樹冠観測クレーン
[北大からのコメント]私たちは、地域社会とのより効果的な連携を進めるため、札幌市との包括的な情報交換を始めています。環境関連情報の発信についても、一連の流れの中で考えていきたいと思っています。
環境負荷低減への取り組み
[ご意見]一つの事業として食物残渣を微生物で処理し、有機肥料をつくり育てた野菜を販売するくらいの、北大でしかできないシステムを作ってもよいのではないか。
[ご意見] 学生への教育やゴミの分別、節電などの活動だけでは環境負荷の低減は難しい。環境のための具体的な積み重ねをハード面から真剣に考えないと、環境報告書は絵に描いた餅になってしまう。同時に環境負荷の低減を図る活動をする際のマネジメント体制づくりも今後のテーマである。ソフト面のシステム整備も必要であろう。
[ご要望]環境技術や科学を教えるだけでなく、北大には環境負荷のことを考えられる学生を育成する、教育機関としての役割をしっかり果たしてもらいたい。
[北大からのコメント]私たちは以前から、一部食堂の残飯を微生物処理するなどの取り組みを行ってきました。環境負荷低減のための効果的システム整備については、今後の努力が必要だと理解しています。学生の育成についても、まだ大学としての取り組みが不十分だと感じています。
今後の北大への期待
[ご要望]北大には他の大学や組織にはない資産や優位性があるので、それを常に生かす姿勢を持ってほしい。また、環境目標自体をどう定めるかを地或と対話してほしい。目標や求めているレベルの妥当性や質、分野の話を外部と議論しながら設定する姿勢を持ってほしい。
[ご要望] 北大にはすばらしいフィールドがあるので、社会への還元やサポート面に力を注いでもらいたい。周辺の初等教育への環境教育なども大切にし、地域に愛される北大であってほしい。
[北大からのコメント]私たちは、前述の札幌市との情報交換などを通し、地域との対話を始めたところです。この取り組みはまだ不十分ですが、―歩ずつ前進していきたいと思っています。
キャンパスクリーンデー(環境担当理事と学生)
総合博物館で説明を受けるステークホルダーの皆様
参加いただいた皆さま
※プロフィールは2006年3月当時。※敬称略
稲葉 一成
札幌市まちづくり局都市計画部都市計画課計画調整係長。
環境にも配慮した札幌市の都市計画を担当している。
久保田 学
(財)北海道環境財団企画事業課長。
環境に関する民間活動へのアドバイス、環境教育、環境啓発活動を行っている。
黒河 雄幸
札幌市環境局環境都市推進部環境マネジメント担当課長。
環境アセスメントの実施など環境配慮の推進を担当している。
菅原 槙希
北海道大学経済学部2年。キャンバスピジットブロジェクト代表。
市民や修学旅行生などに構内を案内している。
林 垂穂
北海道大学理学部化学科2年。同大学新聞会代表。
大学関連のニュースを収集し、年5回、無料発行している。
末富 弘
北洋銀行ベンチャー支援室室長。
主に新事業支援を行う。環境に関する研究の手伝いをしている。
柳田 章
北海道大学生活協同組合専務理事。
同大学構内において、環境に配虜しながら食堂や売店運営を行っている。
渡辺 恭吾
北海道電力総合研究所研究企画グループリーダー。
環境問題を始めとした全社の研究開発の企画業務を担当している。