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地域住民のための観光・交流を研究。観光学高等研究センター 上田 裕文先生

環境報告書2017より

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自動的に生成された説明

上田 裕文
北海道大学観光学高等研究センター 准教授
東京大学農学部生物環境科学課程森林環境科学専修卒業。東京大学大学院農学生命科学研究科森林科学専攻修了。ドイツカッセル大学建築・都市計画・景観計画学部 都市・地域社会学科経済社会科学博士  (Dr.rer.pol.)取得。札幌市立大学デザイン学部 講師を経て、2016年より現職。本学国際広報メディア・観光学院准教授兼務。

「観光客がどんどん来ればいいわけではないんです」と語る上田裕文准教授。所属する観光学高等研究センター (CATS)について「特徴はコミュニティ・ベースド・ツーリズム。地域住民のための観光まちづくりを中心に研究し、道内外の市町村で観光創造を支援しています。さらに、そのノウハウを活用して、ヨルダン、エチオピアなど海外で、地域の文化や生活環境が観光で消費され尽くすことがないように、仕組みづくりをお手伝いしています」と説明します。

上田准教授自身は美瑛町で観光マスタープランづくりを手伝い、「農業景観を見に来た観光客が、農業そのものに害をなしてしまうことがある。それをどう解決していくかが重要なテーマ」ととらえています。教育においては「風景計画論演習」で北大キャンパスの観光マスタープランをつくる課題を用意し、「観光客が訪れている現状で、どうすると双方にとってより良くなるか、空間的・仕組み的に解決することを学生に考えてもらっている」そう。また、「森林美学という概念を学生に伝えています。森林美学とは、経済がよく循環し、人間にも生態系にもすべてにいい、調和した状態の森こそが美しいという考え方。ドイツから明治時代に持ち込まれて、東大と北大で広がったけれど、今や消えかかっているので」と学問のサステイナビリティも意識しています。

上田准教授が今、力を入れているのは樹木葬墓地の研究。「ドイツと日本で2000年前後に始まり、ドイツでは森の中に埋葬しているけれど、日本は墓石の代わりに木がある形。日本でも森林を活用した墓地が実現すると、子孫が森に集まる新しいお墓参りの形ができるでしょう。観光というより広い“交流”で地域を豊かにしていくことを考え、地域にも世界にも貢献したい」というお話でした。

森の中に座っている人たち

自動的に生成された説明

取材日:2017.5.30

観光学高等研究センター CATS (Center for Advanced Tourism Studies)
「観光創造」に関する調査・研究・教育に加え、情報発信や社会連携を総合的に行う。サステイナブルキャンパス評価システムASSCの[教育と研究]分野の評価に対し、カリキュラムとして「観光創造研究」「世界遺産マネジメント論演習」など、サステイナビリティ研究として「観光開発過程の発展途上地域における建築遺産管理に関する研究」「歴史的市街地の個性化プロセスに関する研究」などを該当する教育・研究として記載。