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スマートアグリシティの実現に向けて 大学院農学研究院 副研究院長 野口 伸 教授

2022年、本学に「スマート農業教育研究センター(仮称)」が誕生します。老朽化・分散していた実験棟などを集約し、工学・情報科学の研究設備なども完備。新しい農業の拠点として大きな期待が寄せられています。スマート農業研究の第一人者である野口伸教授に、本センターの特徴と本学のスマート農業の取り組みについて聞きました。

野口 伸 / 大学院農学研究院 副研究院長・教授
北海道大学大学院農学研究科博士課程修了後、同助手・助教授を経て2004年より現職。1992年に初代農業ロボットを開発。1998年に米イリノイ大学でGPSを使った自動運転技術を習得し帰国後、日本の農機メーカーと世界初の本格的な農業ロボット開発に成功。2016年から内閣府SIP「次世代農林水産業創造技術」プログラムディレクター(PD)、現在「スマートバイオ産業・農業基盤技術」PD代理を務める。

特徴は「アクセスのよさ」
新しいスマート農業教育研究センター(仮称)は、アクセスのよさが特徴の一つになると思います。札幌駅の近くに最新設備が整い、すぐ隣に実験農場がある。都会の真ん中でこれだけの環境はそうありません。ここで学ぶ学生、共同研究をする方にとって、大きな魅力になるでしょう。また、研究成果を多くの方々に見ていただくのにも有利です。農業に関係していない方に、ぜひ最新のスマート農業技術と今後の可能性を知っていただきたいと思います。

ロボット農機は社会実装を経て、次の段階へ
ロボット農機はすでに実用化され、これからは中山間地での活用や果樹の剪定や収穫といった高度な作業の実現、遠隔監視などが課題です。現在私たちの研究室では、NTTグループと共同でAIを用いたロボット農機のスマート化、5Gを活用した遠隔監視の実用化を進めています。また、ロボット農機の電化にも取り組んでいます。電動車両は制御しやすく環境負荷が小さいのですが、導入にはコスト面がネックとなります。こちらは現在、トヨタ自動車と協力してプリウスの部品を再利用した電動ロボットを開発中です。

北大で約30年間、研究を続けて感じること
日本の食料基地・北海道にある大学で、最先端の農業技術が研究できることは非常に恵まれていると感じます。何より地域の皆さんが研究に対して熱心で、理解し、応援してくださる。また、農家の方が実験を見に来てくださり、現場の声を直接聞ける点もすばらしいです。これらは北大がスマート農業に取り組む上での優位性であると同時に、取り組むべき意義だと思っています。また、学内にある研究農場のおかげで我々の成果があるとも感じます。新しいセンターとともに、農場のような基本的な設備も大切に残していきたいですね。

スマート農業技術はSDGsに貢献
現在、岩見沢地域の稲作を対象にした国家プロジェクトでスマート農業技術の導入により生産コストの5割削減、農家所得の2割増加を目指していますが、労働力不足は日本も海外も同じ状況です。さらに気候変動、温暖化、人口増加などにより食料不足が深刻化し、いかに効率的に、かつ環境に配慮しながら食料を生産するかが世界の課題です。その中で、スマート農業の革新的な技術は大きな役割を果たすと私は思っています。IoTやAIなどを活用したスマートアグリシティの実現が私たちの目標であり、世界の人々の命を支える国際貢献につながると信じています。


ロボットトラクタ4台の協調耕うん作業。複数ロボットによる協調作業は、農家の方のアイデアがヒントとなって実現したシステム

農場には国内外から多くの視察者が訪れる