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ステークホルダーとの対話 ー 本学のスマート農業への評価と今後の期待 (日刊工業新聞 山本論説委員)

2020年2月、本センターについて記事を執筆した日刊工業新聞社の山本佳世子論説委員より、本学のスマート農業への評価や今後の期待をテーマに寄稿文をいただきました。

山本 佳世子
日刊工業新聞社 科学技術部 論説委員兼編集委員
お茶の水女子大学理学部卒、東京工学大学院総合理工学研究科修了後、1990年日刊工業新聞社入社。2003年より大学・産学連携担当。産学官連携をテーマに東京農工大に社会人入学し、博士号取得(学術)。文部科学省貴社クラブ常駐。東工大、電気通信大などで非常勤講師を務める。著書は『理系のための就活ガイド』ほか。
大学・産学連携の専門記者として、私は大学の取材を20年近く続けてきました。国の財政が厳しい中での大学改革は、各大学の特色や目指す方向を全学の共通認識にした上で、新たな活動を社会にアピールする華やかさと、地味に手堅く進める方策の、両方が必要だと感じています。
先に取材した、北海道大学のスマート農業はその好例です。ロボットや大量データ(ビッグデータ)、モノのインターネット(IoT)を多用するスマート農業で、研究・教育の新施設を2022年度に開設する計画です。無人のロボット農機で作物の病気や害虫の4K画像を撮影し、第5世代通信(5G)で遅延なく送信して人工知能(AI)で分析、ロボット農機で農薬や肥料をまくといった話に、わくわくしながら記事を執筆しました。
場所は札幌キャンパス、ポプラ並木近くです。北大は1876年に札幌農学校から始まった歴史から、メーンキャンパスどころか農場さえ札幌駅すぐと、立地の強みは他大学を圧倒しています。新施設は観光客に海外視察団、農機や電機、情報の企業などを、さらに引きつけるでしょう。
一方、手堅いなと感じたのは、2階建て延べ床面積3,000平方メートルの新施設は、老朽化した小ぶりの実験棟など4棟を取り壊しての「集約」だという点です。北方生物圏フィールド科学センターと農学部を中心に、工学や情報の研究者も加わる広がりながら、新建物のスペースは従来の合計の約8割です。少数の研究者しか使っていなかったスペースを減らし、共同利用で効率化し、維持管理費を抑制します。公費も各種の資源も大切にした、サステイナブルな取り組みだと印象に残りました。
また、北大は「THE大学インパクトランキング2020」で国内総合1位になりました(P3参照)。大規模総合大学は部局の独立性が強く、活動がばらばらになりがちな中、サステイナビリティに対する北大の全学意識は強みです。これからも大切にしてほしいと思っています。

北大農場の文化財と最先端技術

総長補佐(施設・環境計画室)/大学院農学研究院 准教授 愛甲 哲也
サステイナブルキャンパスマネジメント本部運営委員会・
キャンパスマネジメント専門委員会 委員


 山本佳世子様、貴重なご意見、お褒めの言葉をどうもありがとうございます。
 キャンパスの北側に、重要文化財にも指定されている建物群、モデルバーンがあります。クラーク先生は、日本
の農業の近代化のためのモデルとしてこの牧舎の建築を命じたと言われています。このように、私どものキャンパ
ス・農場は、古いものを大事にしながら常に最新の科学技術を研究する場として発展してきました。
 さて、貧困や飢餓の解消、健康的な生活や陸の豊かさといった持続可能な社会に、農業が果たす役割は少なくあ
りません。その一方で、農業従事者の減少、高齢化は進み、里地・里山のアンダーユースは獣害や生物多様性劣化
の一因でもあります。スマート農業技術は、多方面からその発展が期待されています。日本の農業の最先端を伝え
てきた北海道大学の農場は、その課せられた諸問題に立ち向かい、新たな歴史を刻む取り組みを始めて参ります。
 これからも、私どもの取り組みに、ご意見を賜りますようお願い申し上げます。