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太陽光を高効率でレーザー光に変換する。 大学院工学研究院 樋口 幹雄先生

環境報告書2013より

本棚の前にいる男性

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大学院 工学研究院 准教授 樋口 幹雄

持続可能なエネルギーという観点から、太陽光をエネルギー源としたレーザー光が注目されています。太陽光のエネルギーの大部分は波長約500nm をピークとする可視光の領域にありますが、その光を効率よく吸収できる結晶材料は、これまで開発されていませんでした。念願の材料を開発したのが、大学院工学研究院の樋口幹雄准教授と独立行政法人理化学研究所光量子技術基盤開発グループの和田智之グループリーダーらの研究グループです。

開発された結晶は、赤色透明の「Cr,Nd:CaYAIO4」。紫外線から可視光にわたる広い領域で光を吸収し、エネルギーが最大となる波長500nm 帯近傍でも効率よい吸収を示します。従来の材料 (Cr,Nd:YAG)で吸収が最大となる波長 (430nm)では、70倍以上の吸収断面積が確認されました。さらに、高効率で吸収されたエネルギーにより、近赤外領域で強い蛍光を示すことから、レーザー光に変換できるものと期待されます。

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作製されたCr,Nd:CaYAIO4 結晶

グラフ, ヒストグラム

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開発された結晶の光吸収特性

この結晶を使ったレーザーは、エネルギー蓄積の媒体として注目されているマグネシウムの精錬などに利用できます。現在、海水中に豊富に存在するマグネシウム源から金属マグネシウムを取り出す提案があり、新タイプの固形燃料の開発においても、このCr,Nd:CaYAIO4結晶に期待がかかります。