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-世界とつながり高め合う-大学院獣医学研究科 石塚 真由美先生 未来をみつめたアクション

環境報告書2013より

地球温暖化をはじめ、世界の連携が必要な問題に取り組むため、また、他の大学と学び合うため、北海道大学は国外にもネットワークを構築。シンポジウムなどを積極的に開催しています。

国境を越え、分野を越え、アフリカへ貢献―「アフリカ研究会」HURNAC

椅子に座っている女性

中程度の精度で自動的に生成された説明

大学院 獣医学研究科 教授
石塚 真由美

アフリカの問題を研究するネットワーク。

現在、獣医学研究科ではアフリカ諸国と環境汚染に関する共同研究を進めています。日本学術振興会 (JSPS)※の研究拠点形成事業にも採択され、様々な国の研究者と交流を行い、国際シンポジウムの開催を通してネットワークを広げています。この研究プロジェクトが生まれたきっかけは、毒性学を専門とする大学院獣医学研究科の石塚真由美教授がザンビアを訪れた際に、原因不明の環境汚染について相談されたことです。アフリカ諸国では急激な資源開発や都市開発により、環境の化学物質汚染が進んでいます。また、農薬や電子廃棄物などの問題もあります。しかし、対策を講じるための情報は不十分で、環境汚染の現状が把握されていません。そのため、多分野の研究者が共同研究を進めるネットワークが立ち上がったわけです。2007年のスタート時に開催した国際シンポジウムでは、参加国が5つだったものが、現在は10数カ国から50人以上が集まって議論をするシンポジウムになりました。

※日本学術振興会 (JSPS)は、

  1. 科学研究費助成事業による研究助成
  2. 特別研究員による研究者養成
  3. 学術の国際交流
  4. 大学改革の支援

を柱として事業を行う独立行政法人。

現地を巻き込んだ研究を進めたい。

研究は現地の研究者とともに進めることが前提で、本学と以前からつながりのあるザンビア大学と連携して進めています。先進国の研究者が、研究対象国を単なるサンプル採取の場ととらえ、成果を還元しないケースがありますが、それは現地では「悲しい研究」と映るようです。そこで獣医学研究科では、環境汚染問題についてガーナ、エジプト、エチオピアなど様々な国から若手研究者を北大に招へいもしています。

研究の成果発表や情報交換は積極的に行われており、2013年2月28日には研究科においてアフリカの若手研究者によるシンポジウム「RECENT ADVANCES IN RESEARCH ON ENVIRONMENTAL TOKICOLOGY」が開催されました。すぐ後の3月1日には、北大の研究ネットワーク「アフリカ研究会」HURNAC (Hokkaido University Research Network with African Countries)によって学術講演会「アフリカに暮らす人たちとその環境―北の大地からアフリカへの貢献」を開催。午前は英語で、午後は日本語で講演を行い、研究者以外の来場も促しました。

砂の上に馬を乗っている男

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牛の尿や血液を採集して、環境汚染物質を調査(ザンビア)

アフリカが抱える問題はひとつじゃない。

現地調査を希望する学生・大学院生は数多くいます。しかし、アジアのように近距離ではないため、交通費が高額になること、また、治安や衛生面の問題があることから、気軽には現地訪問ができないのが実情です。それでも石塚教授は「スタートして間もない研究ネットワークをしっかり継続し、研究を広げ、アフリカに貢献していきたい」と、自分ができることに真摯に取り組んでいます。

「アフリカが抱える問題はひとつじゃない」からこそ、たとえば環境汚染を考えるにしても「学生のみなさんには広い視野をもってほしい」と言います。なお、現地で研究を行うには、やはり英語が必要となりますが、それ以上に人とコミュニケーションしようという気持ちが大切だそうです。

ベンチに座っている人たち

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魚や鳥類を通して湖沼の環境汚染を調査(エチオピア)

研究者だけではない国際交流―サステイナブルキャンパス推進本部の海外視察

建物の前に立つ男女

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アムステルダムとケンブリッジでキャンパスを考える。

2013年2月7日~3月19日、サステイナブルキャンパス推進本部の小松真紀コーディネーターと施設部環境配慮促進課の田中陽二係長が、オランダのアムステルダム自由大学へ。産学官連携の実態調査などを目的に、以前、北大に在籍した経済学部空間経済学科のジョアオ・ロマオ博士らを訪ねました。期間中3月4日~6日はイギリスのケンブリッジ大学とオックスフォードブルックス大学を、環境オフィスの役割等の調査を目的に訪問しています。

「全学部平等」は、はたして平等か。

アムステルダム自由大学の視察から得られたのは次の情報です。オランダの首都であるこの街では、市と民間の連携が時間的にも質的にも充実しているものの、大学参加は今後の課題。長期的視野に立ち、産学官連携のインフラとして新キャンパスを計画しています。

ケンブリッジ大学では、各学部から省エネプロジェクトを募集し、競争をさせることで、省エネを促進。そのための予算が国から出ているということがわかりました。

EUおよび政府からのはたらきかけもあり、これらの大学では産学官連携やエネルギー消費削減を全学的戦略の中に位置づけています。長期的視座から、「モノ(建物)」はできるだけ増やさずスペースシェアリングを徹底し、コンパクトなキャンパスを目指していること、平等を追求せず、学部間で競争することにより省エネの成果を挙げていることなど、その姿勢から学べることは多くあると言えます。

帰国後も調査・研究は継続中。

なお、現在も「北海道大学およびアムステルダム自由大学における産学官連携枠組みの比較」の研究は継続中。産学官連携について両大学でそれぞれ研究者600~900名にアンケートを依頼し、理想的な枠組みに必要な要素を抽出することを予定しています。この要素を「サステイナブルキャンパス評価システム2013」の評価と併せることにより、今後の産学官連携の発展に寄与する知見を得ることが期待されます。

建物の前で傘をさして歩く人々

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アムステルダム自由大学内観

タイムライン

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スイスの研究者とサンゴの危機を予測。「地球温暖化と海洋酸性化がサンゴ分布に及ぼす影響に関する研究」

北海道大学、国立環境研究所、スイス連邦工科大学チューリッヒ校、ベルン大学の研究者は、地球温暖化に伴う海水温上昇と「海洋酸性化」により、日本近海でサンゴが生息できる領域が将来、大幅に縮小することを予測しました。海洋酸性化とは、大気中で増加した二酸化炭素が海水に溶け込んで、海水の性質が弱アルカリ性から中性もしくは酸性に向かう現象のことで、それがサンゴにどう影響するかは今までほとんど予測されていませんでした。

本学で研究に取り組んだのは、大学院地球環境科学研究院の藤井賢彦准教授と山中康裕教授。用いられたのは、現在のサンゴ分布と過去の研究から得られた「海水温」と「アラゴナイト飽和度」のデータです。アラゴナイトはサンゴ骨格の多くを占める炭酸カルシウムの結晶形で、アラゴナイト飽和度およそ3以上の海域にサンゴは分布しています。二酸化炭素が海に溶け込むとアラゴナイト飽和度が低下し、骨格を形成する石灰化能力の低下が起きます。アラゴナイト飽和度が2.3(海洋酸性化によって規定されるサンゴの分布限界)を下回ると、サンゴ礁生態系は維持できないことから、二酸化炭素排出を減らす対策が不可欠であると、この研究は示唆しました。

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変わるドイツ、変わらない日本。「日独の脱原発の比較研究」

2013年3月11日・12日、北海道大学はドイツのベルリン自由大学と共催で、ベルリンにて日独の脱原発を比較研究する国際会議を開きました。会議を呼び掛けたのは、大学院経済学研究科の吉田文和教授。教授は「経済とは環境も含めた豊かさを追求するもの。環境を保全しながら経済発展していく手法を追究することが重要」と考え、長年にわたり日独の環境政策を比較研究しています。

会議には、日本側から本学の鈴木一人教授、立命館大学、北海学園大学の研究者ら8人、ドイツからはベルリン自由大学などの12人が参加。同大学の学生も傍聴しました。福島での原発事故を機にドイツは2022年までの脱原発を最終決定した一方、日本では脱原発がなかなか進まないのはなぜなのか。両国の相違を話し合い、互いに学び合う場となりました。

農業の多様性と持続性を考える。「北海道国際農学会議2012」

2012年8月27日~31日の5日間にわたって「北海道国際農学会議2012 ―農業の多様性と持続性―」が開催されました。主催は大学院農学研究院。参加したのはアイオワ州立大学(米国)、雲南農業大学、浙江大学、西北農林科技大学(中国)、嶺南大学、ソウル大学(韓国)、ボゴール農科大学(インドネシア)、カセサート大学(タイ)、中興大学(台湾)の9大学。教員・学生48名が集いました。

本会議の目的は、農学の命題である食糧生産と環境問題の解決に各国が共同して取り組むための下地である国際性を育むこと。農学部大講堂において、講演会、シンポジウムの他、関連ポスター約100題を発表するポスターセッションが行われました。

空港で並んで立っている男性

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日韓で未来を考える。韓国公州大とジョイントシンポジウム

北大教育学研究院と韓国公州大学校は、毎年いずれかの大学でジョイントシンポジウムを開催しており、2013年2月26~28日には本学において行われました。

今回のテーマは、第1部「未来社会の持続可能性のための教育」、第2部「グローカル社会における生涯学習・福祉・労働」。公州大学校から5名、北大から7名の研究発表が行われ、「パソコンゲーム及び運動が中学生の攻撃性に与える影響」「改革変動時代における日本の生涯学習と教育の課題」などが論じられました。シンポジウムには本学教員・大学院生・学生、他大学の研究者、市民の方々が参加し、方法論、課題意識、解決の方法などについて活発な討議も行われました。

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交流を重ねて第15回。ソウル大学とジョイントシンポジウム

北海道大学とソウル大学は、1997年に大学間交流協定を締結。これを記念して1998年に第1 回合同シンポジウムを札幌で開催して以来、毎年交互に合同シンポジウムを開催し、全学的な交流を行っています。

2012年12月6日には京王プラザホテル札幌において、「Action for a Sustainable Campus」をテーマにジョイントシンポジウムを開催。全体会として工学研究院の長野克則教授らによる基調講演があり、14の分科会が用意され、「パブリックヘルスとサステイナビリティに関するシンポジウム」「環境シンポジウム〈環境と未来のリスク〉」などが開催されました。

レストランのテーブルに座っている人たち

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北米のシステムで大学を評価。STARS国際パイロット事業

STARS (Sustainability Tracking Assessment and Rating System)は、北米の高等教育機関で構成されるAASHE (Association for Advancement of Sustainability in Higher Education)が開発した、大学および高等教育機関のサステイナビリティを定量的に評価するシステムです。約450の高等教育機関が参加しており、「国際パイロット」と呼ばれる枠組みでは、北米以外の機関も参加が可能。本学は2012年1月から参画しています。

STARSではサステイナビリティを社会、経済、環境が相補的に連関したものと定義し、「教育・研究」「オペレーション」「計画・運営・地域連携」の3分野を設定して総合的な評価を行います。北海道大学札幌キャンパスについては、サステイナビリティ活動への学生の参加、カリキュラムの整備などの課題が明確になりました。

北海道大学サステイナブルキャンパス推進本部では、評価指標の有用性を検討し、日本の大学に適した指標を研究。その内容を2012年10月にロサンゼルスで行われたAASHE2012会議で発表しました。

アジア太平洋地域で「見える化」。AUAプロジェクト-SUSTAIN

「AUA (Alternative University Appraisal)プロジェクト」は、アジア太平洋地域でサステイナビリティに取り組む大学の「見える化」および、取り組みの改善・強化を目的としてスタートしました。2009年に文部科学省「国際協力イニシアティブ事業」および、環境省「ProSPER.Net(アジア太平洋大学院ネットワーク)共同事業」として、本学の主導により開始。協働機関はアジア工科大学(タイ)、テリー大学(インド)、東京大学、マレーシア科学大学、延世大学(韓国)、ロイヤルメルボルン工科大学(オーストラリア)、国連大学高等研究所および国連大学ソフトウェア研究所の8機関です。

サステイナビリティの教育に焦点を当てた大学評価システムを策定し、2012年度には外部の意見を取り入れ、システム全体を改善しています。さらに、システムを試験運用するとともに、ターゲット、ポジショニングなどの再設計を実施。大学評価事業に関する共同論文を完成させ、国内外の関係機関に配布しています。なお、AUAは2012年から「SUSTAIN」と改称されています。