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課題は当事者としての学生をどのように巻き込んでいくか 第7回 北海道大学ステークホルダーミーティング

環境報告書2011より

テーブルを囲んでいる人たち

自動的に生成された説明

北海道大学では、環境への取り組みを評価するため、2006年から「北海道大学ステークホルダーミーティング」を開催しています。2011年度は、2012年2月20日、北海道大学・遠友学舎にて開催しました。ごみ分別の方法から情報発信のあり方まで、多様な意見が寄せられました。
学内コミュケーションの改善と、学生を活動に巻き込んでいく取り組みの重要性が確認されました。

※プロフィールは2012年3月当時。※敬称略

スーツを着た男性

自動的に生成された説明

今村 聖祐
北清企業株式会社取締役営業部長
北清企業は、環境配慮を経営理念に据え、バイオディーゼル事業、石膏粉のリサイクル等、さまざまな環境活動に取り組んでいる。こうした活動が認められ2008年、「さっぽろエコメンバー」に登録された。学内の一般廃棄物の収集に関係している。

机の上に座っている女性

中程度の精度で自動的に生成された説明

西村 かおり
北海道経済産業局エネルギー対策課 課長補佐(当時)
北海道経済産業局は、道内企業等の省エネ意識の転換と活動を支援するため「省エネ町内会モデル」を推進しており、自主的な省エネ活動を浸透させるための大きなきっかけとして位置づけられている。

机の上に座っている男性

低い精度で自動的に生成された説明

明田川 知美
北海道学生支援ネットワーク (HOSUP) (CoSTEP5期生)
北海道大学教育学部教育行政学講座修了。北大関係者を中心にさまざまな市民活動に関わっている。特に、東日本大震災支援関連では、「東日本大震災市民支援ネットワーク・札幌」「北海道学生震災支援ネットワーク (HOSUP)」等に参加し、精力的に活動した。

テーブルの上に座っている女性

低い精度で自動的に生成された説明

山岸 奈津子
(株)星野リゾート・トマム広報マネージャー
環境科学院の EpoCH の事業の「雲の学校プロジェクト」の担当者。2012年2月に「雲海テラス」に関わる新プロジェクトとともに、共同研究先として環境科学院への企画提案に訪問したところから北海道大学との関わりがスタートした。「なっちゃん」の名前でブログ掲載中。

カップを持つ女性

低い精度で自動的に生成された説明

飛田 英克
北大キャンパスビジットプロジェクト
北海道大学農学部生物資源科学科3年(植物病理学研究室)。2011年の施設担当者サマーセミナーで、サステイナブルキャンパスツアーを実施。

スーツを着た男性たち

自動的に生成された説明

三上 隆
理事・副学長サステイナブルキャンパス推進本部長

テーブルに肘をついている男性

中程度の精度で自動的に生成された説明

小篠 隆生
工学研究院 建築都市空間デザイン部門空間計画分野
サステイナブルキャンパス推進本部キャンパスアセスメント部門長

スーツを着た男性

自動的に生成された説明

松藤 敏彦
工学研究院環境創生工学部門廃棄物処分工学研究室
サステイナブルキャンパス推進本部環境保全センター長

ファシリテーター

モニターの前に立っている男性

低い精度で自動的に生成された説明

今津 秀紀
凸版印刷株式会社トッパンアイディアセンター

“分からない”“知らない”“伝わっていない”

今津 北海道大学の環境活動は100点満点で何点か、教えてください。

飛田 点数は70点。キャンパスがきれいだなと思ったこと、ポイ捨て等が少ないことから取り組みがなされていると感じます。課題は学生向けの広報。自分で調べようとしないと情報が出てこない。課題はいかに活動のきっかけをつくることか、と思います。

明田川 (点数100点を示し)環境報告書はとても立派にできていると思います。でも、(10点を示し)「学生との協働」という観点から考えると「ふーん」という感じです。率直にいうと、学生を巻き込むための工夫を感じられません。

今村 65点。環境活動のコストパフォーマンスが問題。どの程度の費用をかけて、どの程度の節約につながっているのか。また、学生は4年間しかいないので、大学にいる間にどれだけ活動ができたのか見えません。ショートスパンでの環境活動が必要です。

山岸 点数は65点。北海道に占めるエネルギーや土地、負荷を考えて活動をしているところは評価できますが、“わからない”“知らない”“伝わっていない”が多い。サステイナブルキャンパスというのが、誰にメリットがあるのか明確ではありません。

西村 北大は北海道屈指の大量エネルギー消費事業所。難しいとは思いますが、あえて50点。個々の現場での取り組みと研究を融合させて、合理的で先進的な取り組みのフロントライナーになることを期待しています。

三上 北大は、2万2,000人が生活しているコミュニティです。自分たちの意見をはっきり言える人の集まり。だからこそ、意見の集約とアプローチの方向性をそろえるのが難しいのです。

松藤 このグループに入って1年弱、メニューは整ってきました。何をどう取り組むのかは分かってきたので、これから頑張る段階です。

小篠 大学の構成人員は、教員・職員・学生で、違う立場の人が同じことをやらなければなりません。立場の違いがありますが、それを乗り越えていかなければならず、それはサステイナブルキャンパス推進本部の課題です。昨年1年間で、学生とサマーセミナーでのHCVP(北大キャンパスビジットプロジェクト)のツアー等、できるようになってきたこともあります。大学は外の人との交流も多いので、その人たちを巻き込んでいくことも必要と思います。

人, 屋内, 女性, 立つ が含まれている画像

自動的に生成された説明
冷蔵庫の前に立っている男性

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人, 男, 屋内, 立つ が含まれている画像

自動的に生成された説明

「見える化」を具体的な成果に結びつける取り組みを

今津 活動に関することで、気になること、こうならないのか、と思うところを挙げてください。

西村 「省エネ」という言葉の意味を、共通認識で持っているでしょうか? 省エネは「我慢」ではなく、快適性を犠牲にせず、建物の構造、設備・機器の動かし方等を合理的に改善していくことです。

今村 「見える化」の活性化です。減らしたことを示す数値を何らかの形にできないか。これだけ減らして、こういう成果を生もう、という目標と成果が明確ではないと思います。

飛田 ごみ分別が分かりにくい。一般ごみと資源化ごみの違いがいま一つ分からないので、これを明確にできれば学生も積極的に分別すると思います。

山岸 効率の悪そうなのはごみ分別。学部によりごみの捨て方が違う。これは一番最初に取り組むべき環境活動ではないのかと思う。収集の効率も悪いはずです。

明田川 個人の生活改善努力と、大学経営にしかできないことの境目が分からない。札幌市内の個人世帯の電気の30分の1を使っているとなると、個人の努力で減らせる部分は少ないのではないでしょうか。
細かいことですが、施設改修時の工夫として、冬のため二重窓にするとか、網戸をつけて窓を開けられるようにする、といったことも可能ではないでしょうか。

テーブルに肘をついている女性

中程度の精度で自動的に生成された説明

三上 省エネは、大学の使命である教育・研究に影響を与えるものではありません。「見える化」の狙いは、部局ごとに日常でできるような活動をしてもらい、それを全学に広げることです。今、「見える化」では全体の数値しか出せていないので、部局ごとに出していきたいと思います。

松藤 目標と目的は違います。数字を見せるのも必要だが、何故やるのか、目的が最上位であり、その共有が大切です。現状認識にギャップがあります。ごみの減量をしたら、その成果を見せることです。

小篠 大学は何のために教育・研究を行うか、というと、社会を良くするため、そして人材を供給するためです。大学自体の活動は社会を変えるためのモデルとなります。いわば北大は、知的なプロダクトを生産している工場であり、2万2,000人がどう動けばうまく生産されるか、効率化を図らなければいけません。

一番のステークホルダーは学生

今津 内外のコミュニケーションについて、中と外のそれぞれで課題やアイデアを教えてください。

西村 大学の教育・研究が社会にどういう価値をもたらすのか、どんな将来をもたらすのか、外に対してどういう発信をするか。建学の「理念・精神」と先生の「個別」研究、その間をつなぐ道筋が外から分かりにくいと思います。

今村 「北大」に対する社会の期待は、外の大学とはまったく違います。技術が継続的な CO2削減にどれだけ役に立つのか、数値を出せるのは北大しかないのです。北大が2万人の学生と、こういう活動をしていくと発信して共通のものがつくれたら大きな一歩になります。

飛田 北大が行っている活動を、学生に身近な場所でアピールすれば関心を持ってもらえるのでは。分かりやすいプレートを施設の前に立てるのも良いと思います。

山岸 北大が、北海道にとって、世界にとってどういう場所かを考えると、何を発信すべきか明確になる。内外でコミュニケーションを取るうえで、それぞれのステークホルダーにとって北大がサステイナブルであることが何につながるのか分かってくると、何を言うべきか変わってくるはずです。

明田川 学生は当事者で、キャンパスをつくる主体です。北大の環境施策はトップダウンで、学生の主体的な動きにはつながらない。意識が高い学生であっても活動がしにくく、サポート体制がない。元気プロジェクトや環境コンペは、活動を維持していくのが難しい制度です。
一番のステークホルダーは学生ですから、企画の初期から学生が参加できる体制にしてはどうでしょうか。外とつながる時には、小さな結びつきから広がっていく。学生の活動はそういうところでも評価されていくのではと思います。

三上 大学の意志決定は、教育研究評議会で報告し、各部局の部長の判断で学生へ流れていきます。学生の関わり方については、学生・教職員が一緒にやっていく形の活動でも、公には組織の中に今まで学生は入っていません。そこを改める必要があります。学生の声を聞く場を積極的に設けなければいけないのです。

松藤 学生活動の支援にはお金と場所が必要です。環境保全センターでは場所の提供はできます。大学全体としては環境市民集団にする。環境配慮できる人をつくって送り出し、研究とともに社会に貢献する。それが北大のブランディングです。

テーブルを囲んでいる人達

自動的に生成された説明

小篠 誰とコミュニケートするのか、独自のコミュニケーションを開発しなければいけない。北大がずっと掲げているモットーを実現していく。独自のネットワークは Face to Face でつくり上げていくものです。内部のパワーが強くなるほど、外とのつながりも増えていきます。そこを支援していく。元気プロジェクトが使いにくく、学生が発表の場を持てないというのは、ネットワークの手段を削いでいるということです。

西村 学生はお客さんじゃなくて、当事者だというのはすばらしい言葉です。アクセサリー的なものではなく、普段の活動の中でできなければなりません。

松藤 学生は意外と意識があると思いました。コンテスト等を行って表彰するのはとても良いと思います。

スーツを着た男性たち

自動的に生成された説明

小篠 垣根を取り払うことが必要で、スタートまでが遅いといわれるのは耳が痛いところです。支援の窓口があっても認可が遅いといわれます。

三上 情報の伝達も、上から下への縦割りで風通しが悪くなっています。受け手にはいろいろな人がいるので、たくさんの情報を流さざるをえませんが、それを簡潔にスピーディーにというのが難しいところです。

小篠 キャンパスマスタープランには、「北大キャンパスは札幌市の肺である」とあります。キャンパスの都市に対しての位置づけというのをアピールしていかないとならない。札幌市は環境首都宣言を行っているから、もっと強い絆をつくらないといけないと思います。

明田川 Face to Face のネットワークというのは素敵です。その入り口として学内団体・学生を活用してほしい。楡稜祭や生協の学生委員等、意識高くやっている学生に話を聞けば、ごみ分別等のノウハウも出てくるし、楽しんでやるのでは?
例えば生涯学習やまちづくりに関心がある等、身近なところから巻き込んでいくことで良いチームができていくと思います。

学内のリソースを使い切れているだろうか

今津 「北の森林プロジェクト」について、ご意見をいただけますか。

今村 弊社では、廃食油バイオディーゼル燃料 (BDF)を軽油の代わりに使うことで年間400t-のCO2を削減しました。取引先に廃食油を出していただき、その BDF の走行距離を計算して削減証明書を発行してお返しし、受注につなげています。これを森林につなげられないかと思っています。ただ、森林は手を入れる手間があるところが難しいところです。

小篠 今、手を入れられるところは研究林の数%にしかありませんが、その数%を循環的に回していかないと、林はどんどんだめになります。

三上 さらに、北大は100年間の貴重な研究データを持っています。それは今後国際的な連携に使う方向で準備しています。

西村 間伐等「手を入れる」ことが、森にとって必要だということが知られていないのではないでしょうか。下川町のように、森を手入れする喜びを分かち合うことができている例などもあり、草の根的に盛り上げていくことができるのではないでしょうか。

山岸 学内のリソースを使い切れていないのではと思う。もっといろいろなことを考える人がたくさんいるのではと思います。

三上 今後は、学生をどのように巻き込んで展開するかに尽きます。そのために上から下への情報の流れを精査しなければいけないし、キャンパスを実験場にしていくうえで市民も巻き込み、中長期的に活動しなければなりません。もっとも学生は4~6年で卒業するので、新しい勤務先・研究組織で同じような活動をし続けてほしいのです。教育はそういうことも念頭において置く必要があると思います。本日はありがとうございました。

外部評価報告書

環境報告書第三者審査
ご覧いただいた「北海道大学環境報告書2011」は、最終校正の段階で、エイチ・イー・エス推進機構に独立した立場から、記載事項の①正確性、網羅性、適切性及び妥当性の確認、②当該データの信憑性の確認、③運用状況及び関連法規制の順守状況について審査を受け、2012年8月22日付で、下記を審査結論とする審査報告書をいただいております。

  1. 2011年度北海道大学環境報告書は環境報告書ガイドラインに適合し、正確性、適切性及び妥当性において適切です。
  2. 「節電の夏」の対策として節電手法が定められていますが、その有効性の評価のため部局ごとに試行されることを望みます。
テキスト

中程度の精度で自動的に生成された説明