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サステナビリティの同志たち−1−大学院地球環境科学研究院 藤井 賢彦先生・大学院経済学科研究科 吉田 文和先生

環境報告書2010より

研究者インタビュー

北海道大学は、サステナビリティに関する研究で世界のトップを走るために、いくつものアドバンテージを有する大学です。多彩で広大な実験フィールド、最先端の研究施設、2万人を超えるマンパワー。そして何よりも、総合大学ならではの知の集積と多彩な視点です。さまざまな取り組みが交差し、研究者や学生の力が結びつくことで、サステイナブルなキャンパスと社会の実現へ大きく前進します。

大学院地球環境科学研究院 准教授 藤井 賢彦
学生を主体に、学内の横のつながりを結ぶ

森の中に立っている男

自動的に生成された説明

省エネと有機性廃棄物をキーワードに取り組む

私の専門は、元々は海の研究でしたが、「持続可能な低炭素社会」づくりプロジェクトの特任准教授に任じられてから、低炭素社会の実現をテーマにさまざまな取り組みに着手しました。特に、北海道は冬の暖房と車移動によって全国平均よりも3割使用エネルギーが高いため、その2つのエネルギーをどう減らすか、データを集めて試算しています。
また、北海道の農・漁・林業の現場では、たくさんの有機性廃棄物の処理にみんなが困っています。しかし、これらをエネルギーを取り出す資源として考えれば、一転して宝の山になります。堆肥、木質バイオマス、バイオガスプラントなど、大学内で循環するシステムづくりを現在の主なテーマとしています。特に家畜ふん尿と食物残渣を使った学内堆肥化プロジェクト「少年よ、堆肥を抱け!」を2009年度に開始し、昨年1年間でさまざまなデータを測定しました。これらの取り組みはすべて、私というよりも、学生や博士研究員が主体的に進めています。

ボトムアップの取り組みで構成員の意識を変えていく

持続可能な社会、それに向けたサステイナブルキャンパスを実現するには、大学当局によるトップダウン型の施策だけでなく、構成員によるボトムアップ型の取り組みが必要です。トップダウン型は効果が確実に出る反面、構成員が意識して環境負荷を減らすわけではありません。自分たちで考えて取り組めば環境意識が変わります。その変化は他の共同体に行った後も、足踏みすることはあっても、決してゼロにはなりません。意識が変われば行動が変わり、そうやって社会に浸透していきます。ただ、大学院修士の2年間はあっという間ですから、学部生の段階からきちんと全学的に環境教育を行い、基礎を身につけてもらうことが理想です。そして、学生側が主体的に取り組める環境サークルがもっとたくさんできるといいと思います。

環境科学院はニュートラル。学内に横串を刺す存在に!

大学は、組織が縦社会だということも含め、社会の縮図です。歴史や伝統のあるところで、それを打ち破って新しいことをするというのは非常に難しい。その点、環境科学院は自由に動けるところだと思います。我々がショーケースのように環境に関するいろいろな取り組みを行っていけば、データの解析など専門家の助けが必要な状況が生まれ、各学部や大学院と連携を取るきっかけができます。それを繰り返し重ねていって、学内が横につながったシステムづくりを、推進本部とともに進めていきたいと思います。

森の中にいる男性

自動的に生成された説明

大学院経済学研究科 教授 吉田 文和
さまざまな分野の研究者を結び、議論の場をつくる

建物の外に立っている男性

低い精度で自動的に生成された説明

大学の使命は環境負荷を社会全体から減らすこと

工場が都市から郊外へと移転した現代、大学は都市内で最もエネルギーを消費する施設となっています。本学も札幌で一番の事業所です。そのため、環境負荷をどう減らすかは今、日本の大学にとってテーマとなっています。
しかし、実験施設やその正確性を期するための空調などの装置が大きなエネルギーを消費するため、先進的な研究を行うためには減らせない部分があります。逆に大学はその自覚を持ち、率先して日本全体の環境負荷を減らすプロジェクトの研究を進めることで社会の期待に応えていくという貢献の方法を取るべきだと思います。

再生可能エネルギーとその未来を話し合おう

私が今喫緊の課題だと考えるのが、再生可能エネルギーの、技術面から社会制度での普及の問題まで実用化に関するあらゆる研究です。昨年のサステナビリティ・ウィークでもそのテーマでシンポジウムを行いました。3.11の大震災により日本のエネルギー政策は転機を迎えたと思っています。本学には風力発電、バイオマス、太陽光などの研究者から原子力の研究者まで、あらゆる研究者が揃っています。私と大学の役割は、それらの研究者たちが活発に意見を出し合う場を作り、市民にエネルギー政策の今後を判断する材料を提示することだと思っています。特に本学は大震災のダメージを受けなかったので、日本全体の研究を引き受ける使命感を持って進めていかなければいけません

机の上に座っている男性

中程度の精度で自動的に生成された説明

もちろん学内にも工夫をして節電などの省エネルギーができる部分はあります。建物自体に省エネの設備への改修を進めていくこと、消灯もれなどについては管理責任をはっきりすることと、学生の意識を向上させることが必要です。そのためには学部生からの環境教育が重要になりますが、学内のフィールドと、学外でも札幌市にはさまざまな施設がありますので、より一層それら実物教育を伴った環境プログラムにしていくべきだと思います。
これからの学生はエネルギー政策について、ずっと直面していかなければいけません。私の専門は経済学ですが、経済とは経世済民。経済成長を追うのではなく、より良い生き方をみんなで考え選び取る術を考える学問です。その生き方の質をはかるのが持続可能性であり、未来にわたって子孫が幸せに暮らせる世の中を実現することだと思っています。

「持続可能な低炭素社会」づくりプロジェクト

本プロジェクト(以下、低炭素プロジェクト)は、二酸化炭素排出削減や再生可能エネルギーの普及、サステイナブルキャンパス活動を通じ、低炭素社会の実現をめざすものです。公共政策大学院と環境科学院を中心に、さまざまな学部・院の研究者が関わりあって進めています。市民にも公開する講義と、学生を巻き込んだ研究調査活動、サステナビリティ・ウィークなどでの研究成果の発信が主な活動です。