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北大の環境活動について語り合おう。第5回 北海道大学ステークホルダーミーティング

環境報告書2009より

開催日:2010年3月26日(金)  開催地:北海道大学 遠友学舎

北海道大学では、「2009年度環境報告書」の作成にあたり、ステークホルダー(北海道大学と関わりのある方)からのさまざまなご意見を取り入れることを目的に、地域の方々や学生との意見交換の場を設けました。いただいたご意見、ご要望は、今後の大学の活動に反映していきます。

環境配慮活動に点数をつけるとすれば?

参加の皆さまに大学構内を見学していただき、北海道大学の環境への取り組みについて概要を説明した後、北海道大学の環境活動を100点満点で評価するとしたら何点か、またその理由をお聞きしました。

岩井 道半ばということで50点。作成した環境報告書やサステナビリティ・レポートをどうやっていろいろな方の目に触れるようにしていくのかが重要。そのための仕組みづくり、活動に注目したい。

芦田 80点。北大の環境は学びの場として魅力的で、実践している環境活動にもとても魅力を感じる。こういったいい活動をされているのに、私は全然知らなかった。これをもし知っていれば、日頃の教育活動に何か生かすことができたのではないかなという思いがある。

松田 70点、これは合格という意味。キャンパス全体でこんなにいろいろなことをやっているのかとびっくりしたのが正直な感想。メディア側からすると、分厚い資料は読み解くのが難しいので、メディアに対するPRを含めた広報のやり方、ポイントを押さえた資料作成を今後に期待する。

藤原 70点。北大の中にいるのに全然知らないことばかりで、資料を見てさまざまな活動があることを知った。専門性を持ってコーディネート機能を担っていくサステナビリティ・オフィスなど、エコキャンパスに向けての活動の工夫が学内全体に広がればいいと思う。

阿部 合格点の75点。北大全体の取り組み、学生の意識は格段に深いものがある。きっと大学の中で、学生に対してさまざまなアプローチをされているのだと、資料を見て感じた。あとはこのキャンパスの中からどのように発信していくのかが課題。

テーブルについている人たち

自動的に生成された説明

北大からのコメント

温かい評価だったような気がしますが、皆さんが共通して感じているのは、大学としての広報の力の弱さであると思います。環境配慮活動については、環境報告書という形でまとめたり、サステナビリティ・ウィークという形で環境に関わる研究・教育の成果を広める取り組みを行っていますが、対外的な情報発信をより充実させていきます。

動にもっと期待したいこと。要請したいこと。

北海道大学は持続可能な社会の実現に向けて大学が果たす役割の重要さを認識し、これまでさまざまな取り組みをしてきました。より一層の取り組みとして期待することについてご意見をいただきました。

松田 良いところ、強みを継続し、さらに強化していくこと。緑もあるし、自然もあるし、広い。こういった自然環境の上に、なんとも言えないロマンを感じさせる空間があることが北大の良さであり、強み。これを強く認識して、他大学と異なる環境活動を展開してほしい。さらには北大のアーカイブ、伝統という強みを一般の方に開放し、幅広い世代に生涯学習的にアピールしてほしい。

芦田 研究や教育活動の可視化を期待したい。高校生の多くは北大に大きな魅力を感じているが、「北大で何を学ぶか」が明確になっていない。高校生の学びの意欲のためにも、キャンパス・サステナビリティに関する先進的な研究、活動を対外的にアピールし、広く目に見えるものにしていただきたい。

岩井 環境活動や研究内容をオープンにしてほしい。一つ一つの取り組みは優れているので、それをつなげて社会全体のパフォーマンスに結びつくようにアウトプットする工夫が必要。活動や研究がオープンであれば、企業や市民の参画の機会や相乗効果が生まれる。特に学部内外への周知・啓発といった項目はオープンに取り組まれるべき。オープン度合いをさらに促進してソーシャルパワーにつなげてほしい。

また、環境配慮活動に関しては、既に「何をするか」は明確で、それを「どのように実現するのか」が重要。プロジェクトのマネジメントや動機付けなど社会科学的、人文科学的アプローチに関する研究を組み合わせて、研究成果を社会に還元してほしい。

阿部 キャンパスを利用した環境負荷低減の研究推進に非常に期待している。今の環境施策は必ずしも科学的な根拠が明確に示されていないものが多いと感じるが、例えばキャンパスを実験の場として得られた成果を発信するならば、大きな効果があるのではないか。一研究者の意見ではなくて、北大がキャンパスの中で実証したという客観性をもった成果の発信を期待している。

藤原 「エコキャンパスに向けて」というテーマで、昨年、学部生を中心に1,200人にアンケートをとった。「エコキャンパスだと思いますか」に対して、ほとんどの学生が「そう思う」。理由は「緑がある」が多かった。もっと具体性が必要ではないか。例えばごみの分別によって何がどれだけ減ったか、数値や減っているものを具体的に見せると、学生もわかりやすい。

北大からのコメント

美しいキャンパスという北大の資産を十分に活かしながら、活動の可視化をはかる努力をしていきたいと思います。サステナビリティ・ウィークという取り組みを始めた背景は、専門分野を横につないで問題を解決する視点が大学に必要、という認識からでした。社会に発信していくことの一つの取り組みとして、昨年11月にサステナビリティ・ウィークの中で政策提言を行いました。持続可能な社会をつくるという、大学としての社会的使命を果たしていきたいと思います。

自分が北大職員だったら。こういうことをやってみたい!

グローバルな視点から見た北海道大学、あるいは地域社会の中での北海道大学にはどんな役割が期待されるのか。ご参加の皆さんのそれぞれの立場から、環境活動に対して取り組んでみたいと思うことをお聞きしました。

阿部 大学の先生はゼネラリストであるより、よりスペシャリストであってほしいという勝手な願望を持っている。こういうテーマにはこういうスペシャリストでチームを組むと最大の力を発 揮できる、といった柔軟な組織力の活かし方を試みたい。

スーツを着た眼鏡の男性

自動的に生成された説明

岩井 今、社会が直面している問題は大きく、その解決にはどうしても「学」の力が必要。北大の「実学」という部分を改めて見直し、都市中心部にある広大なキャンパスや研究成果を地域社会にうまく開放して、身近な問題、例えば生ごみなど都市型の有機性廃棄物の問題といった、市民が望んでいる課題解決を図っていく役割を果たせるといい。

芦田 人的交流を挙げたい。教育実習の時に、大学生が自分の大学でどんな勉強、学生生活を送っているかという話をすると、高校生は敏感に反応する。また、普段の授業の中に、大学生じゃないとできない実験を取り入れて一緒に授業を作っていけたら、非常におもしろい。キャンパス・サステナビリティの活動に関しても、人と人とが実際に向き合って、話をするという広報活動が展開できると思う。

藤原 環境問題を実験する場、実践モデルの場として活用できると思う。大学であれば、考察して研究論文にできるメリットがあるし、企業や行政にとっては社会的な問題の解決につなげられる、2つのメリットがある。

松田 大学における専門研究と市民の実生活との距離を縮めることができるといい。われわれの毎日の生活と環境問題はどう影響しあっているのか、大学の原点である学問の研究の中から、随時情報をマスコミに提供していただきたい。研究を深めていただきながら、それを総合的な視野で市民への具体的なアドバイスにしていくことができる、地域のホームドクター的な研究者を望む。

北大からのコメント

実学の重視は、本学の基本理念の一つです。人類が直面している問題をどう解決していくのか、長期的な視点でいかに打ち出せるかが、実学の重視だと思っております。最先端の研究を行っている研究者に、市民フォーラムで発表してもらうなどは行っていますが、市民との直接の結びつきという意味では、わかりやすくお話をするという発表の技術なども含めて一層強化していきたいと思います。

建物の前の椅子に座っている人々

低い精度で自動的に生成された説明

キャンパス・サステナビリティへの取り組みに関するご意見

本学では学内に向けて『北海道大学持続可能な社会づくりに貢献するキャンパス運営を目指して~環境負荷低減に関する提言~』を掲げています。この内容に基づき、キャンパス・サステナビリティに関するご意見をいただきました。

藤原 「学生教育の推進」における方策が少ないと思う。環境教育をもっと重視してもいい。それが研究成果や、大学の評価に大きくつながる。具体的な方策のためには、学生とコミュニケーションをもっと取っていくことが必要。新しい運営組織として設置されるサステナビリティ・オフィスの中に学生を組み込んで、一緒に方策を考え、学生に実際にやってもらって学生からほかの学生に伝えていくのが、より効果的だと思う。

松田 関心があるのは「省エネ対策の推進」。北の大地にある大学として、北の風土の特性を活かす方策を考えていけるといい。これは産官学を含めた連携でビジネスモデルができる可能性がある。雪、地熱、風力などについて地域を知り、地域と密に取り組んでいくという形で北大がリーダーシップを取ることが重要であり、期待する。

芦田 いろいろな側面から環境に対する取り組みが行われているということがよくわかった。この成果を生かしながら持続可能な社会を作っていくために、私たち自身にどういったことができるのか、北大で成功した事例をぜひ発信していただきたい。

岩井 提言の中で、例えば有害物質及び廃棄物の適正処理については、PRTRで規制されている化学物質以外でも登録を徹底するとしている。国が定める基準を守るだけではなく、国の動きを先導していくことが、北大なら可能ではないかという期待がある。
また、普及啓発活動として挙げている環境負荷の「見える化」をぜひ達成してほしい。自治体も企業も、いい環境計画は持っているが、それをいかに実現するかが課題となっている。「見える化」をした次の段階で、計画を実現するためにどのような仕組みを作ろうとされているのかに関心がある。

阿部 環境配慮への取り組みは、外向きの活動に対してどのように目標を定量化し、達成感をどう評価するかが重要である。それについてはどのような目標を立てているか。また、雪氷冷熱を利用するという一つの試みを実践していくことにおいては、北大には素早く動ける環境があるので、期待している。

レストランのテーブルに座っている男性と女性

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北大からのコメント

本学のキャンパスを実験場とし、低環境負荷社会のモデルになっていくためには、学生は最も重要なキープレイヤーです。学生を含めた全学的な体制の構築をさらに進めたいと思います。
また、現在、本学を訪れた市民の方のためにインフォメーションセンターを作っています。この建物には工学部建築コースのエネルギー効率の研究を応用したいと考えています。そういった成功例を社会に還元することで持続可能な社会をつくる原動力になるべく取り組んでいきます。また、環境関連法については、国の基準がありますが、できればそこを越えた北大スタンダードをつくることを目指しています。

ご参加いただいた皆さま

※プロフィールは2010年3月当時。※敬称略

スーツを着た男性の横顔

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松田 耕二
北海道放送株式会社コンプライアンス室長
ドラマ、ドキュメンタリーで芸術祭大賞、民放祭最優秀賞など多くの受賞歴を持つ。広報担当を経て現在、内部統制・番組審議会・番組考査・視聴者対応の統括を務める。

スーツを着た男性の顔

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岩井 尚人
NPO法人北海道グリーンファンド事業企画チームマネージャー
社会全体でエネルギー消費を持続可能なレベルに安定させ、自然エネルギーの利用を進める社会づくりに取り組む。地域協同型「みんなでカーボン・オフセット」や「さっぽろ薪プロジェクト」等をプロデュース。

スーツを着た男性

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阿部 公一
株式会社ドーコン都市・地域事業本部都市環境部次長
主に廃棄物系のコンサルティングを行っている。現在の環境施策の中には明確に科学的根拠が示されていないものもあり、その検証に対して大学の果たす役割は大きいと指摘する。

スーツを着ている人はスマイルしている

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芦田 朋美
北海道札幌旭丘高等学校 教諭
高校では生物を担当。2009年度はボランティアの北大生が同高校を訪れ、研究室の出前実験を実施。大学生と高校生が対面する「人的交流」が豊かな教育成果をもたらすと考える。

ワインを飲んでいる女性

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藤原 沙弥香
北海道大学大学院環境科学院環境起学専攻修士1年
学部時代から環境専攻、2009年より北大修士課程入学。学生主体の環境活動に取り組む。2009年度には学生へのエコキャンパスに対する意識アンケートを実施した。

スーツを着た白髪の男性

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本堂 武夫
北海道大学副学長 環境担当理事

ファシリテーター 今津 秀紀
凸版印刷株式会社 トッパンアイデアセンター