活動・調査報告
北海道大学サステイナビリティ推進機構は、2024年10月6日(日)に、「脱炭素と自然保全を考えるシステミックデザイン体験1day Boot Camp」を学術交流会館第一会議室で開催しました。株式会社BIOTOPEの戦略デザイナー/システミックデザイナーである山田和雅氏をファシリテーターとしてお招きし、北海道大学のサステイナビリティ推進を進化させるために、共創活動の基盤となる「システミックデザイン」という課題解決の考え方を習得するとともに、実践型で学びながら未来を緩やかに構想しました。本学の学部生・大学院生11名と教職員3名が参加しました。(株)BIOTOPEでインターンを行っている慶應義塾大学学部4年生の安宅絢音さんが進行補助を行い、(株)日建設計と(株)日建設計総合研究所からも合計3名のスタッフが進行にあたりました。
今回用いた「システミックデザイン」はイリノイ工科大学デザインスクールで開発したツールで、「システム思考」と「デザイン思考」を融合させた関係性のデザイン手法です。参加者の多様な視点を集め、システム構造図として課題を構造化し、解決策をシステマチックに導出していきます。まずは現在の状況をそのまま(as is)捉え、ミクロレベルから、メゾ、マクロ、意図へと4つの次元に転換していき、そこからあるべき姿(to be)の規範から問いのデザインを行い、解決策のデザインへ展開していく手法です。
当日は、まず山田和雅氏からアイスブレークとシステミックデザインについての講義を受けた後、4つのグループに分かれ、キャンパス内の「教育研究施設エリア」「保全緑地・水系エリア」「歴史・伝統建物エリア」「博物館やコンビニなどの外部との共有エリア」の現状調査に行きました。今回は現状をできるだけそのままシステム化するため、現地で気になる写真を撮影し分析の材料としました。
撮影した写真から、アクター(人物+人工物+自然物)を抽出し(ミクロ)、アクター間の関係性から得られるサービスを記述(メゾ)し、サービスが志向している価値観(マクロ)と意図を、システミックに構築していきました。グループ内及びグループ間で共有することで、多様な視点を組み込むことができました。
次に構築したシステム構造に対して、あるべき姿(to be)から「批判(クリティック)」を加え、社会環境システムをリ・デザインしていきました。今回のあるべき姿は、「脱炭素」「環境保全」「ウェルビーイング」の規範を取り上げ、リ・デザインを行っていきました。その結果、キャンバスに訪れる一般市民や観光客との共存や、学生目線でのキャンパスづくりなどの提案が数多く出されました。
参加者は、システミックデザインについて習得するとともに、社会課題解決の提案にこの手法が有用であることを理解することができました。
サステイナビリティ推進機構は、これからも社会課題解決のための手法に関する人材育成を進めていきます。